Computer & RF Technology

RTL-SDR(RTL2832U/R820T)ドングルをダイレクトサンプリング改造してみる

(2014/5/12訂正) 

RTL2832UドングルでHF帯を受信する方法として、ダイレクトサンプリングと呼ばれる方法があります。ドングルを改造することにより、R820TやE4000といったチューナチップをバイパスして、直接RTL2832UにRF信号を入力します。

以前E4000を使ったドングルを改造した件について書きましたが、最近R820Tチップを使ったドングルの入手が容易になってきたこともありますので、こちらのドングルでダイレクトサンプリングを試してみることにしました。

通常のダイレクトサンプリング改造では、チューナチップとRTL2832Uの間の接続をカットして、直接信号を入力する方法が報告されています。以前のメモでもそのように改造していました。実はR820TチューナチップはLow-IF方式を使っており、RTL2832UのI信号入力(1,2pin)のみが使用されており、Q入力(3,4pin)が空いたままになっています。この空いているQ入力を使用することで、ドングルの機能を損なうことなくダイレクトサンプリング化することが可能です。

今回の改造写真です。

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このドングルの実装パターンでは、RTL2832UチップのQ入力4,5pinは外部に信号が引き出されていません。そのため、MLFパッケージのICの脇にわずかに見える0.5mm間隔で並んでいるピンに信号を接続する必要があります。

前回の改造ではチップとアンテナを接続には手巻きのトランス(バラン)を使用していました。今回は既製品の表面実装用トランスを使用してみました。大変小型(4x4mm)なため、基板の上に直接載せてしまうことが可能です。

基板上にはアンテナ用の同軸コネクタを追加するスペースがありません。代わりにピンヘッダを横倒しに置くことにしました。この設置方法であれば、ダイレクトサンプリングを使用しないときはケースに納めてしまうことができます。

拡大写真です。配線は0.2mmのウレタン線を使用しています。ピン間は狭いですが、なんとか接続することができました。ルーペでも詳細は見えません。ほんとうは実体顕微鏡が欲しいところです。見えないので、テスターで接続を確認しておきます。ピンヘッダとトランスはホットボンドで仮固定していますが、ドングルはかなりの熱を発生しますので、ボンドが柔らかくなってしまい、ちゃんとした固定になっていませんが、とりあえずこのまましのぎます。

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さて、改造ができたら、次は使い方です。いつものようにSDR用のソフトウェアとしてgqrxを使用します。ダイレクトサンプリングをQ入力で使うように設定しなければなりません。ソースコードを確認したところ、オプションパラメータとして”direct_samp”に2以上の値を設定することでQ入力を使う指定になるようです。これまでは”direct_samp”に1を指定していましたが、これはI入力を使用するという意味だったようです。gqrxの設定画面でパラメータを下記のように設定します。このへんのパラメータはrtl_sdrコマンドのオプションやgnuradioのgr-osmosdrブロックのパラメータと共通のはずです。

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さて、さっそく受信してみます。アンテナとして屋外に設定してあるループアンテナを使用します。ピンヘッダにアンテナからの信号を接続します。

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実際に受信してみたところ、ループアンテナを使うとAM放送の混信が著しいことがわかりました。ループアンテナのアンプの電圧を下げ、ゲインを落としてちょうど良いところを探ったところ、受信に成功しました。

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動いた証拠に動画です。

https://youtu.be/ob3crOo_meI

ちなみにループアンテナがフルゲインの時はこんな感じになります。放送波の混信が等間隔に並んで帯域を埋め尽くします。中波放送の大振幅の信号でADCの入力が飽和し、クリップされているのだと思います。

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印象として、ダイレクトサンプリングは、放送波の混信に弱いです。AM放送だけではなく、FM放送も入ってきてしまいます。ループアンテナのような広帯域のアンテナを使用するのであれば、AM放送波をカットするフィルタは必要だと思います。もしくは目的のバンド専用のアンテナを使用して妨害波の強度が落ちるような環境であれば大丈夫だと思います。

R820Tドングルのダイレクトサンプリング改造は、チューナの機能を殺してしまわずにできそうだということは思いついていたのですが、今回実際に確かめることができました。また小型のトランスを使うことでコンパクトに納めることができました。一方弱点としてIMが出る、そして感度の低さがあります。コンバータに比べて感度は20dB程度低いようです。とはいってもそれなりに受信することは可能なのが面白いところです。

以上、改造の一例としてご参考になれば幸いです。

ドングルの改造ネタとしては、懸案の水晶発振子の安定性改善があります。これもアイデアがありますので、近いうちに実験してみたいと考えています。

(2014/5/12訂正) Q入力のピンが4,5pinとすべきところを、当初3,4pinと誤っておりました。改造当初勘違いしていたのを、記事をアップ直後にモノは修正していたのですが、記事を直し忘れていました。写真と文を訂正しました。ゆうぱぱさんに早い段階で指摘いただいていたのですが、記事の訂正が遅れてしまいました。申し訳ありません。

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